現役強化5ヵ年プロジェクト
2018年度版
学習院大学アメリカンフットボール部の運営と5カ年計画について
【1、桜鎧会の目的とチームの目標「1部昇格!!」】
(1)桜鎧会(OBOG会)について
(2)他大学ヒヤリング
(3)部の目標と五カ年計画
【2、5カ年計画】
(1)現在の学習院大学アメリカンフットボール部
(2)1部とは その1
(3)1部とは その2
(4)1部目標でやらなくてはいけないこと
(5)指導者とGM職の配置
(6)運営体制と意思決定
(7)目的
(8)みんなに応援してらうチームづくり
(9)具体的な施策
桜鎧会のみなさん、こんにちは! 平成5年卒の竹山慎一と申します。
会長である望月の2年先輩ではありますが、望月会長をささえる立場で、副会長をさせてもらっております。
アメリカンフットボールについては、素人に毛の生えたくらいの知識しかない私ですが、OBOGの方の中にも、そういう方はいるはず・・・ということで、詳しい人とは違う目線からお伝えできたらと思っています。 よろしくお願いします!
今、同期の田代(支援金委員会)からハガキやメールが届いて、皆さんの中には、1部行くとか、寄付とかいろいろな話が飛び交っていて、いったいどうしたの? とご心配されていることもあるかと思います。 一方で、応援してくださる方もたくさんいて、激励のお手紙やメールもいただいております。
今回、桜鎧会でつくった現役強化のためのプランは、総会でもお伝えする機会がありました。 総会に出られなかった、そんなの知らなかった、という方も多いということで、チームを強化したいというプランの内容について、こちらで改めてお伝えしたいと思います。
今年の総会以来、めまぐるしくいろいろなことが起こり、これまでの歴代の幹部の方たちは、大変だっただろうな。。。と心底思っている次第です。 チームの運営やOBOG組織の運営も、何もわからない状態で、日々試行錯誤の状態です。 現役強化のためのプランと書きましたが、まずは、なんのために強化をするのか、桜鎧会というは一体なにをするのか、等々、皆さん、それぞれの立場でいろいろな疑問もあると思います。 まずは、桜鎧会の組織について考えてみたいと思います。
1、桜鎧会の目的とチームの目標「1部昇格!!」
(1)桜鎧会(OBOG会)について
桜鎧会(OBOG会)のあり方については、これまで様々な方と話をし、意見を伺いました。 意見は人それぞれ、立場も年齢も違います。 桜鎧会のあり方、現役選手たちとの関わりかたについては、様々な意見があっていいんじゃないかなと思います。 でも、みなさん同じ大学で同じ部活に入って、時代の差はありますが、同じ様な環境でフットボールを通して経験したっていう事は、同じです。 学習院が好きだったり、フットボールが好きだったり、人それぞれあると思いますが、基本的には、そこで一緒に過ごした仲間や経験が好きっていうことなんじゃないかな、って思います。
ではそんなOB/OGの集まる桜鎧会として、どういう組織であることがいいのか? 現役選手とはどう関わればいいかの? 皆さんはどう思いますか?
桜鎧会の会則にこうあります。
1、会員名簿および会報の発行
2、懇親会の開催
3、同部(アメフト部)へ要請事項への協力、支援
4、その他本会の目的を達成するために必要な事項
我々としてもどうしたら今のOBOG会が活性化されていくか? 去年の幹事会やOBOGのちょっとした集まりでも、議論はいろいろとありました。 OBOGの方々にヒヤリングすると、だいたい大きくわけて意見は3つにわかれます。
1,桜鎧会はOBOGの活性化を目的として、現役に支援しても、関与はしない
2,桜鎧会はOBOGの活動よりも、現役を支援することを第一の目的とにする
3,桜鎧会はOBOGの交流の活動もし、かつ現役も支援する
といった感じです。 くどいようですが、人によっていろいろな意見があると思います。 私もこれまで、幹事会に出たりでなかったりな不真面目な幹事でしたので、正直、何が正解なのかは、わかりません。
個人的には、現役は強い方が盛り上がるけど、近い先輩や幹事会で知り合っただいぶ上の先輩や後輩たちと交流するのはなんとなく楽しかったので、OBOGがたまに仲良く交流できるような会とかやればいいのかな?という程度のものでした。 でも、そういうOB/OGの方って多いんじゃないでしょうか。
そんな中、皆さんもご存知のとおり、2011年に2部で優勝を果たしました。 がんばった現役選手そっちのけで、色んな世代のOBが集まって朝まで飲んだのを覚えてます。 なにより、来年「慶応、法政、日大なんて強豪との真っ向勝負が見られるんだなあ」と ワクワクしたのを今でも覚えています。 そのときのことを思うと、心のどこかでやっぱり現役が強いのっていいなあって、思ったりします。
一方で、学習院はセレクション(スポーツ推薦)もないし、人数も少ないし、それでは1部のセレクションを行っている学校には勝てるわけないよなぁとも思ってました。 そんな中、現役の学生から、宮部会長、望月副会長のもとに相談がありました。
その内容は、 「僕らは優勝したい。僕たちは叶わないが、後輩たちにまた1部にいってもらいたい。だから、後輩たちの夢のためにその礎を今築きたい」 というものでした。 正直、驚きました。 その時は本気でそう思っているのかよくわかりませんでしたが、でも 「1部にいきたい」よりも、「後輩たちに1部にいってもらいたい、だから今、僕らがその礎を築きたい」というのに、なんか心が打たれた気がしたんです。
1部にいきたい、でも、桜鎧会ではやることが限られる。 予算もない。 それでも1部に行きたいという選手の気持ちを前提とするなら、今の桜鎧会で、どんなことがサポートできるのだろうかと考えました。 これもいろいろな意見を皆さんに聞きましたが、やはり学習院だけで考えていると結論が見えてこない・・・ それで、他大学にヒヤリングに行くことにしました。
(2)他大学ヒヤリング
ヒヤリングの対象校は、学習院より、だいぶ実力が上か、ちょっと?上、くらいの大学です。 1部上位校(関西学院、立命館、慶応、早稲田、法政・・・) 1部下位〜2部校(立教、横浜国大、成蹊、成城、青山学院・・・) OBOG会のあり方については、どの学校にも大小いろいろな課題があるようです。
OBOG会の年会費の納入率はまちまちで、15%〜60%くらい OBOG会で、監督を推薦して現役が決めるところと、選手ではなくOBOG会が決定しているところがある。 候補を出して、現役選手に投票してもらう学校もある。 (このあたりの個別の詳細については、また別で説明したいと思います) でもやはりみな実力校なので、全ての学校のOB組織が、まずチームが強くなるために何をするか、というのを目的としていることは明白でした。
一方で、なんとなくわかったのは、ここ最近、大学スポーツの運営方法が変わりつつあり、 皆さんもご存知のとおり、
1、これまでの部活動のままという学校
2、どちらかというとクラブチーム運営っぽくやっている学校
という二極化が進んでいそう?ということでした。 一方で、ヒヤリングを行った学校では、チームを強くするためにどういうことをしているのか?
企業から支援をうけている法政大学や、社団法人化した京都大学、強固な寄付体制がある慶応大学など、事情は違っても、各大学が取り組む方向性はある程度一緒でした。
大きくは次の点に集約されます。
1、人数を増やすためにリクルートがんばる
2、予算を確保する
3、安全対策をちゃんとする
4、指導者を確保し、指導しやすい環境をつくる
5、父母会と連携する
です。
このようなことを監督コーチやOBOG会のメンバーが一体となってやっているようでした。 学校によっても特に資金面でベースとなっているところが違います。
1、企業が支援していたり、寄付体制がしっかりしている学校 →資金潤沢型
2、学校を挙げてセレクションを推進したり、助成金をだしている学校 →学校協力型
3、資金もないし、学校の支援も乏しいけど、工夫して頑張ってる →自助努力型
という風な感じに分類されるかもしれません。
法政大学や慶応大学は1,立命館大学などは2、横浜国立大学などは3に当たるのではないでしょうか。
桜鎧会では、あまり現役選手の活動に関与しないという方針だったようですが、そうは言っても、現場の監督やコーチは学生を指導するわけで、OBOG会の絶対的な協力がない限り、これは大変な労力であり、ともすれば大きな負担だな・・・と感じました。 でもそれは、あくまでOB会組織の方針です。 勝つことを目標にしていればそれはそうですし、勝つことにそんなに比重を置いてない学校だって あるとは思います。
(3)部の目標と五カ年計画
ではわたしたち学習院はどう考えたらよいのか? いろいろな考え方はあるけれど、まずこれでやってみたいということで 目標をたてました。
近い将来もう一度1部に行く! そのために、5年間でチーム運営の基盤をつくる! です。
学生も1部にいきたいと言っているし、もう一度母校が1部にいく姿を観てみたい。 5年間、それを目標でやってみて、その時にまたアメフトを取り巻く環境もかわっているかもしれないし、若い世代がどんどん新しいことを考えてくれるかもしれない。 我々が基盤をつくって次の世代に早くバトンタッチしたい! そう思いました。
チーム運営の基盤をつくるためには、桜鎧会がバックアップする必要が当然でてきます。 いろいろな学校のOB組織のヒヤリングを行って、さすがに学生に任せていては難しいだろうな、ということがあったからです。
これまで監督、コーチたちは、手弁当で先輩や後輩たちが指導してくれていました。 でも、その方々に手当や弁当のひとつもなければ、万が一、怪我人が出たり、大事になったときの保険はあれど、立場を守る確固たる保証もない。 お金だって、チームのためを思って使ってる見えない費用がたくさんかかっていると思います。 これでは誰も監督やコーチを引き受けてくれなくなってしまう。
監督、コーチだけでなく、リクルート活動では、保坂先輩がみてくれていました。 でも、その活動費もない中で頑張ってくれている。 チームの会計にしても、学生マネージャーがひとりで資金繰りに対応している。 これではなかなか後継も育たないでしょうし、何より「もっと強くなってくれ!」という事が、無理を押し付けている感じになっていまいます。 私もそう思っているひとりでしたが、逆にこれまで相当大変な状態だったんだな・・・と思うようになりました。
1000万円以上のお金をマネージャーが仕切るのなんてなかなか難しいことです。 これまで諸先輩方や、あるいは後輩も含め関わってくれたひとたちが培ってきた土台を基に、時代の変化にあわせて方向性を考えながら、チームの基盤を整えていき、まずは土台=基礎づくりをしよう、そして、1部に常駐する力をつけよう! というのが今回の目標です。 そして、それを実行するための5カ年計画をつくりました。
【2、5カ年計画】
(1)現在の学習院大学アメリカンフットボール部
1部に常駐なんてありえない?とおもっていらっしゃる方も大勢いるかもしれません。 ところで、1部2部と言ってますが「今学習院て実際は何部で何位なの?」 という方もいらっしゃると思うので、もう一度リーグ編成についてみてみたいと思います。
関東学生アメリカンフットボール連盟に加盟して、リーグに属している学校は全部で69校あります。
2014年からは、1部が2つに分かれて、強い方からTOP8、次にBIG8というリーグになりました。 それまでは1部の中でも、AブロックとBブロックに分かれていたんですが、強いチームと弱いチームの差が大きすぎて、偏ってしまうため、実力順に2部構成にしたとのことです。
そのため、1部内の入れ替え戦は、TOP8下位2チームとBIG8上位2チームが毎年対戦することになります。
さて、今年の学習院は3部のBブロックにいます。 3部?? なんでそんなに下にいるの?? って思われる方もいるかと思いますが、この3部は3部で、そんなに弱いチームばかりではありません。 1995年までは 1部2ブロック16チーム 2部4ブロック24チーム 合計40チームが2部以上に所属していましたが、 1996年のエリアリーグ新設によって 1部2ブロック14チーム 2部2ブロック16チーム エリアリーグ(3部相当)3ブロック21チーム となりました。 ですから、1996年の以降、本来それまで2部にいたチームが、8校はエリアリーグ、または3部に強制的に振り分けられたわけです。
昨年から来年にかけて関西学生連盟が行なっているのがこれに似ています。 現在は、少し変化して 1部(BIG8,TOP8)16チーム 2部 2ブロック 16チーム 3部 4ブロック 24チーム となります。 95年以前のリーグと比較すると、2部にいたような学校のうち8チームが3部になったわけです。
つまり、3部リーグの各上位2チームは、昔の2部、といった感じになります。 いちいち細かいな!と言われるかもしれませんが、私を含め、意外にここを理解されてない方が多く 「えー今3部なの??」と落胆される方も多いので、実は現在にあてはめてみると、自分の代も今で言うと3部か・・・ なんてこともあるということなんです。
昨年の最終戦、流通経済大学は、実際試合も見ましたが、決して弱い相手ではなく、身体もそこそこ大きく、よくまとまったチームでした。
今年は3部の2位。 これは全69中、ちょうど半分くらいになると思います。 上位32校には入っていませんが、そのすぐ下ということです。 現在の学習院のリーグ内での位置はこんなところです。
(2)1部とは その1
1部を目指したい!といいましたが、1部といってもTOP8、BIG8とあります。 2014年の新編成以来、TOP8の学校が変わったのは、たった1回! その最初の年の2014年に立教大学がBIG8に降格になった時しかありません。
翌年、立教大学はTOP8に返り咲き、それ以降、現在まで変わっていません。 それだけTOP8とBIG8に実力差があるということが言えると思います。
TOP8校 法政大学、慶応大学、早稲田大学、中央大学、明治大学、日本体育大学、立教大学、(日本大学) おなじみのメンツですね。
かたや、BIG8はどうかというと、とても動きが激しいです。 2017年の結果(2018年のリーグに反映)こそ専修大学と一橋大学が入れ替わっただけですが、2014年〜2017年は毎年3校ずつが入れ替わっています。 一橋大学は、2014年から2部→1部→2部→1部→2部とジグザグ走行を繰り返しています。とても忙しいです。
この5年間で、1部と2部の2つを経験している学校は、拓殖大学、上智大学、駒澤大学、東京工業大学、一橋大学、関東学院大学、国士舘大学、帝京大学、東海大学、神奈川大学、桜美林大学、専修大学、東京学芸大学と、実に13校もあります。 それだけ、1部(BIG8)と2部の実力は拮抗しているという状況です。 これこそがリーグを活性化させて盛り上げるという連盟の目的だったようです。
つまりBIG8は、上位2チームに入れば、TOP8との入れ替え戦に臨める。 でも、下位4チームになると、2部との入れ替え戦がまっているというわけです。 シーズン後すぐに落ち着いて休めるのは残りの2チームだけです。 ということで、学習院も、少なくともこの”常に1部との入れ替え戦グループに入る” ということは、そんなに現実離れしているとは言えないと思います。
実は、TOP8の中でも、実力が拮抗してきていると言われています。 「TOP8の学校で甲子園ボウルにいける可能性あるのなんて、早稲田、法政、(日大)または慶応くらいなんじゃないの??」と思われる方も多いと思います。 ところが、支援金委員の田代のメルマガにもありましたが、中央大学はこのところ着実に順位を上げ、2016年のリーグ戦では日大を破り、2017年には法政を破り、4強に入りました。 リーグ戦の3敗は早稲田7-10、慶応6-10、日大17-20と、わずかタッチダウン1本の差でした。 甲子園まであと僅か、という状態まで来ています。
また、立教大学も2000年代は2部リーグで過ごしたこともありましたが、2016年は同率4位(序列6位)、2017年は5位、というなかなかの好成績をあげています。 中央大学は、2014年から、『R-NEXT50』という強化プロジェクトを立ち上げ、OBに寄付を募り、いろいろな施策を展開しています。
その内容は以下の3つです。
「経済的な自立」
「安定したコーチング体制の確立」
「学内・地域貢献を通じた中央大ブランドの向上」
これらを実現するために、一般社団法人を立ち上げ、チームの運営をその枠で行っています。 法人のメンバーはOB会長をはじめとするOBです。 このように、TOP8でさえも、実力の差が縮まってきている、という見方もあり、それは情報が以前よりもオープンになり、横のつながりも多くなり、自然と強いチームの真似ができやすくなってきているからだとも言われています。
(3)1部とは その2
そうは言っても、学習院はスポーツ推薦もないし、たまに勝つことはあるけど、1部常駐はいくらなんでも無理なんじゃないの?という意見もあると思います。 私もそう思っている一人でした。 しかしながら、現に2010年、2011年には2部で優勝を果たし、2012年には1部で戦っています。
話はそれますが、この頃のRBの福田くんとか、QBの高橋くんとか、ジェネラルズの面々はスタンドで見ていてもかっこよかったですね。 なにか条件が整えば、アメリカンフットボールという競技の特性上、高校経験者も少ないということで、1部を目指す事自体はそんなに並外れた 奇想天外の目標とは思えません。
国立の横浜国立大学と東京学芸大学は、学習院と条件がなんとなく似ています。
横浜国大 全校生徒数:約1万人 スポーツ推薦なし(アメフト部) 大学からの援助なし
学芸大学 全校生徒数:約5千人 スポーツ推薦なし(アメフト部) 大学からの援助なし
どちらの大学も、1部のBIG8所属で、TOP8を常時狙う強豪校です。 一方、学習院は
全校生徒数:約9千人 スポーツ推薦なし(アメフト部) 大学からの援助なし
と条件が似ています。 ということは、努力次第で、両校レベルにはいけるんじゃないか、というのがひとつの仮説です。
黒の大学は、スポーツ推薦がある大学、 緑の大学は、スポーツ推薦がない大学、またはアメフト部でスポーツ推薦枠を使っていない大学です。 横浜国大、学芸大学は共にBIG8で頑張っています。 話も聞きに行きましたが、常に強くいるためにとてつもない努力をしていました。 知恵を絞っていました。z 青山学院は、学校自体にセレクションはあるのですが、アメリカンフットボールには使われていません。筑波大学、東洋大学も同じ様な感じです。 なので、2部校はスポーツ推薦を使っていない学校が多いようです。
余談なのですが、TOP8の立教大学は、セレクション制度はありますが、ほとんど野球部に取られていて、アメフトには入ってこないそうです。 ただ、立教大学には付属の立教新座高校があります。ここにアメフト部があります。新入部員のだいたい8割が立教新座高校出身の経験者で、そのうち4年時にスターターになるのは、その半分くらいとのことでした。 セレクションがなくても、やり方次第で1部にはいける!これが結論です。
(4)1部目標でやらなくてはいけないこと
1部、特にBIG8を目標にしたい、というおおよその根拠をお伝えしました。 では、まず何からしたら良いのか? これについては、やはり、お手本となるような上位の大学のマネをしていくのがいいと思います。 特に、学習院と状況が似ている学校や、校風や学生のキャラクターにも共通点があるような大学。 それらがやっていることを学習院の校風に合うように柔軟に取り入れることも必要です。 中央大学の例のように、学生アメフトを取り巻く環境が変化していく中で、これまでの部活動の枠を超えて、OBがチーム運営をしていく、ということは強いチームをつくるためのひとつの道なのかもしれません。
また、1部校では、横の連携も非常に活発に行っている印象でした。 連盟だけはなく、OBや指導者が積極的に情報交換をし、安全対策の最前線の情報を仕入れ、いち早くチームに浸透させたり、テーピングや防具の調達なども、他校と連携しながら業者と折衝をする(共同購買)も考えてたりと、かなり密なやりとりをしているところもあります。 また、コーチを他大学から招聘する例も多くなり、グラウンドでの事故が会った場合にどのような責任を指導者が追うのか、学校とどう連携していくのか等をお互いに情報共有していました。 1部に行くと掲げるのも重要ですが、まずはそういった安全対策や指導者に対する保証などを充実させていくことは、何より強くなるための最低限の基盤づくりのひとつだと考えました。
そこで、基盤をつくるためにまず何をやったらよいのか? 次の4つを策定しました。
4つの土台固め
① 安全対策
アメフトでは脳震盪リスクが一番懸念されている問題です。 2013年に当時のオバマ大統領が「もし自分に息子がいてフットボールをやりたいとなったら、長い話し合いが必要になるだろう」と言ったそうですが、それほど脳震盪のリスクはアメフトをやる上で障害となる問題です。 脳震盪を軽減する防具も開発されています。脳震盪だけではなく、あらゆる怪我に関して、最新の医療サポートや怪我をしてからのリハビリをどうするかなどの知識を他大学や他の組織と共有し、取り込む体制をつくることを目指したいと思います。
② 指導者リスクの軽減
前述のとおり、指導者のグラウンドでの責任は重大です。 よそ様のお子さんを扱うというのは大変なリスクです。 熱中症で倒れても、管理がされていなかった、そういう暑さの予想される時間に練習したなどと、全て現場の監督、コーチに負わされてしまいます。 こういったことを部活(任意団体)であることを理由に大学が責任を担わないというのも変な話とも思いますが、今後はこの点について、積極的に体制を整えていかないと、とても監督やコーチを引き受けてくれる人たちがいなくなってしまう気がします。 保険や、大学との連携、指導者との覚書などをきちんとやっていきたいと思います。
③ 明確な会計
現在、チームの会計は、マネージャーの学生が管理しています。 年間予算は1500万円にもなる大きなお金なので、これもサポートしていく必要がありそうです。 これまでも、OBの方が仕事の合間にチェックしたりする例もあったようですが、それでも月次や日々の支払いをいちいちチェックするところまではどうしたってできないです。 なので、今年からは外部の税理士事務所に格安でお願いし、月次処理の指導と年間での監査を行ってもらうことにしました。 また、後述しますが、幹事長である樋脇(平成6年卒)がゼネラルマネージャーとしてチームの会計などを見るようにして 大きな支出や、業者とのやり取りに介在することで、きちんとした折衝や交渉事を行うようにしました。
④ モラル向上
ヒヤリングでは、自分たちの学校よりも上位の学校とは何が違うか、という問いを投げかけましたが、多かったのは、規律がしっかりしている、OBOGにきちんと挨拶ができるような選手が多い、社会人としても すぐ仕事ができるようなしっかりとした選手が多い、という意見です。 学習院の選手たちも素直で、皆きちんとしていると思います。 私たちが現役のころより、だいぶしっかりしている?と思います。 それは家庭での教育もそうでしょうが、OBOGの方たちや指導をされていた方々の教育や文化の賜物だと思います。 更にルールや規律を守るチームをベースに、より個性や自ら行動を起こす積極性を育む環境にしていくことが必要だと思います。
「何より、仲間、相手に敬意を払うことを自らの意思でできている学校は強い」とヒヤリングした強豪のHCが言ってました。 余談ですが、今年の早稲田大学との合同練習で、早稲田の上級生の全員が、学習院の下級生にまで全てにきちんとした敬語を使っていて、学習院の選手たちは皆驚いていました。 そういった謙虚な姿勢も、強さの原因のひとつなのかもしれません。 1部に行きたい!という話とは別に、こういったそれ以前のチームの基盤をつくることを目標にする、 それができて始めて1部に行く!と本気で宣言できるのではないかと考えました。
(5)指導者とGM職の配置
今年の2月から新たな指導者を迎えてシーズンがスタートしましたが、監督には法政大学出身の井川さんに指導してもらうことになりました。 OBOGの方からは、部外から来ても学習院のことはわからないから大丈夫か??とか、これまでも外部からコーチを呼んだが学習院では1部の技術についていけないだろ!?とか、賛否両論あるとは思います。
監督をお願いした経緯については、望月会長からも別な機会に話があると思いますが、ここではどういう体制で運営していくのかを共有したいと思います。 監督は、フィールド内の学生の指導に専念してもらっています。 井川監督については、また別なところでご紹介させていただきますが、何よりも学生の自主性を尊重してくれるところに好感がもてます。 学習院のアメフトレベルが法政レベルにあらずなのは誰もがわかることで、井川監督自身も、どうやったら強くなれるかを選手自らが考えて、時に一緒になって考えてくれるというスタイルを貫いてくれています。 この素人の私たちでさえ、そこは強く言わなくて大丈夫なの??と思えるような場面がありますが、監督は決まって「少し待ってみましょう」と言います。そんな井川監督の言葉を信じてみようと思いたくなります。
本来、監督の仕事は、学外とのやりとり、重要なイベントである四大戦、甲南戦の連絡、または学内でのやりとり、グラウンドを確保したり、山本部長に連絡をしたり、はたまた教室を使わせてもらったり・・・いろいろな事があります。 あり過ぎます。 このため、新たに、GM(ゼネラルマネージャー)という役職を設け、桜鎧会の幹事長である樋脇さん(平成6年卒)に担ってもらうことにしました。実質、監督の立場で井川監督と並列に位置し、学外、学内折衝の窓口になります。 もちろん部内のことについても、お金のこと、学習院大学の後輩としての選手やスタッフ、マネージャーの皆のケアを含め、樋脇GMに相談する形をとっています。
桜鎧会も慣れないどころか、日々本当に試行錯誤の連続で、今年の四大戦など春のいろいろなイベントでは、鈴木前監督にいろいろとご指導いただき、難を逃れたという場面もありました。 至らない部分もあるかと思いますので、どうか皆さんで教えていただければ幸いです。 それにしても、この監督・コーチの仕事は、あまりにやることが多すぎて、また責任範囲も大きく、これまでの監督・コーチの方々のご苦労たるや想像を絶するレベルだと思います。 これまでボランティアでやられてきた皆さんに敬意と感謝の念を持たざるを得ません。 また、井川監督と桜鎧会、またはチームに軋轢ができたらどうするの?? という不安の声もあるかと思います。
井川監督とは、覚書を交わしました。これはチームが交わしたものとなりますが、桜鎧会が起案、監修しています。 覚書を交わす前に、幹事会で全文をチェックし、幹事と当時の幹部の方々の承認を得ました。 しごきがあったらどうするのか? これが幹事会でも議題にあがりました。そのような事案が会った場合には、チームから監督を解任できる条項を盛込むことにし、監督にも了承いただきました。
(6)運営体制と意思決定
組織としては、これまでの選手主導のチームに、樋脇GMが務めることで、桜鎧会が関与することとしました。 井川監督が学外からの監督であり、そこをフォローすること、また学習院の常識にある程度沿ってもらう場面もあるかと思います。 それをGMが担い、学生の会計や対外組織との交渉など、学生主体となってやることですが、大人が介在した方がいいことをGMにフォローしてもらう、そうすることで、将来の本格的なチーム運営の原型みたいなものができてくるのではないかと思っています。 GM職は、桜鎧会に以前発足した「強化委員会」の後継の「強化プロジェクト(5カ年プロジェクト)」から派遣されているイメージになります。
強化プロジェクトは、現在のところ、望月会長や竹山、榎本総務部会長(平成8年卒)、小貫広報部会長(平成5年卒)にワーキングチームに入ってもらい、前述の4つのやることや具体的な施策を考えて、必要に応じてリサーチ、提案を行うプロジェクトになります。桜鎧会の正式な委員会ではありません。あくまでも作業を行うプロジェクトです。 プロジェクト自体は、期間を限定して発足しました。
将来、チーム運営を含め、桜鎧会でどういう体制になるかはわかりませんが、そういう部門を担う委員会を新設してもいいと思います。 井川監督、樋脇GM、現役の幹部、プロジェクトが常に話をして、強化のために必要な施策などを考え、こういうことをやりたい、という話が会った場合、それを強化プロジェクトで受け止め、必要に応じて、桜鎧会幹部、幹事会に議題として上げるという流れになります。 予算外の費用がかかるのであれば、野口経理部会長(平成元年卒)、寄付金の助成金で賄うということであれば、上野募金部長(支援金)と野口経理部会長に相談する、という流れです。
とにかく、常に連絡をとるようにして、今なにが起こっているのか、何が問題となっているのかを情報共有することで、対処を早くしていきたいというのが狙いです。 組織運営については、いろいろ賛否両論があると思います。 私たちもこれが正解とは全く思っていません。 むしろ、他大学の例や、OBOGの皆さんが社会で経験されている貴重なアイディアなどを教えていただきたいです。 人手も少なく、皆仕事もあり、オフィスもないため、なかなか難しいところはありますが、それでも現場で強くなろうとがんばっている学生たちや、これまで指導されてきた方々の苦労を思うと、私たちも無意識に動いている感じがします。
特に若い人たちのアイディアや今後桜鎧会を担っていくであろう人たちには、ぜひ手伝ってもらいたいですが、仕事も頑張らなければいけない時期でしょうし、時間が空いた時にでも手伝っていただけたら幸いです!!
(7)目的
これからやることとしては、4つのことを中心に基盤をつくる
1,安全対策
2,指導者のリスク軽減
3,会計面
4,モラル
そして、同時に、5年以内にチームが1部に昇格する力をつける! 5年以内に1部!
これは目標であって、目的ではありません。 今回の5カ年計画の目的については、総会において、 「アメリカンフットボールを通して、学習院と部の伝統に誇りを持ち、 人生を逞しく生きる力を仲間とともに養うことができるチームをつくり、そのような人材を育成する」 としました。 これにも賛否両論があると思います。 目的こそ、1部だろ!という意見もあれば、楽しくマナーを守れる子供になればいいのでは? という意見もありました。
私たちが考えたのは、高い目標を掲げて、それに向かって仲間と切磋琢磨する中で、時にはケンカもし、言いたいことは言い合う、そういう仲間を損得なしでつくれるということが、貴重な大学生活において、スポーツを通して得られる財産、と考えている人も多いのではないでしょうか。 もちろん社会に出てからも、そういう場面はたくさんあるでしょう。 先輩や上司に叱られて、そのときは嫌な思いをしても、時がたって「あーあのとき言われたのは、こういうことだったのか」なんて思った時は、皆さんもあると思います。
それは育ててくれた親にも同じことが言えるかもしれません。 でも大学時代というのは、特殊なような気がします。 同じ世代でやってるからでしょうか? 皆さんの中には、もうご覧になっている人もいらっしゃると思いますが、 Amazonの限定でアメフトのチームの内部のドキュメンタリー番組があります。 「All Or Nothing」です。 NFLのチームの内部に潜入したドキュメンタリーで、ミシガン大学のものもあります。 面白いかどうかはその人によると思いますが、私は一日で全8話を観ました。 だからと言って影響されるというのではなく、なるほどこんな風になってるんだな、と関心することはたくさんありました。
ところで、ここのコーチ。アメフト無知な私は全然知りませんでしたが。 ジム・ハーボー監督(コーチ)が主人公なんですが、その彼の言葉があります。 その中の一部を抜粋します。
「私はフットボール以上に若者に高い基準を求めている場は存在しないと信じている。 フットボールは苦しく、辛い。規律や自制心、従順さを要求する。そして、優れた人格を形成する。 フットボールは人の人生の象徴である。 フットボールは、若者に対して自らの天井を突き破り、その先まで進むことを求める。 文字通り、彼らの肉体的な力強さを試す。自己犠牲とは何かということを示す。自らの役割を全うすることの大切さを教える。 我々は自分よりも大切なチームの一部となるために、他人を優先することを学ぶ。 そして、仲間を支え、自分を支えてもらい、共に高みを目指すことを学ぶ。 これらは、現代社会の中でなかなか学ぶ機会のないものばかりである。」
この言葉に感銘受けました!!と言っているわけではありません。 私個人的には、1部に昇格する!!と言っても、結果、負けてしまったとしてもそれはそれでいいと思います。 負けることから学ぶことの方が多いとも言われてますし。 でも何か高い目標に向かって、選手自身が考えて、切磋琢磨しながら仲間となにか大きいことを成し遂げようとする! このことこそが、自分たちも経験したことなのではないでしょうか? それで結果が出たら、それはそれで嬉しい。 かわいい後輩たちが、我々が昔教えてもらったような教訓を学ぶために、環境を整えてあげたい。 という気持ちが、今回の目的と目標のベースになっています。
(8)みんなに応援してらうチームづくり
内部の組織の話をしましたが、チームが強くなっていくためには、いろいろな人に応援してもらうことが大事なような気がします。 会社の仕事でもそうですが、自分たちで抱え込まないで、いろいろな人を巻き込んで切磋琢磨しながらうねりを大きくしていく・・・チームもそうなのかなと思います。 それには、応援したくなるようなチームでなければならないと思います。 そのためにはどんどん情報を共有して、チームのことをわかってもらうことが必要です。 考えてみると、チームに関係する人、組織、会などはたくさんあります。 OBOG会もそうでしょうし、学校、父母会、備品や防具を買う業者やメーカー、目白の会社やお店、選手がアルバイトをしている会社・・・皆チームが関わっている人や組織です。
そんな人たちともっと連携しながら、なにかメリットを共有しあって連携していくことも必要だと思います。 ある大学は、選手たちが普段お世話になっているからと、大学のある駅と近辺を掃除をはじめたところ、皆が応援してくれるようになったという話もあります。 先日は、今年から選手のアルバイト先としてお世話になっている目白のお店から、練習にグレープフルーツの差し入れをいただきました。 そういう応援してくれる、こちらも感謝するという関係性が、よりチームの結束を固くして、選手だけでなく私たちも「いろいろな人たちに支えてもらっているんだ」という心が強くなって、応援してくれる人たちのためにもがんばって勝とう!という気持ちにつながっていくのかもしれません。
父母会の総会では、桜鎧会の総会と同じように、井川監督の紹介に加えて、チームでどんなことを目指していきたいかという方針を説明しました。 今チームがどんな状態で、なにを必要としているか? 身体作りの面でも父母の食のサポートがなければ到底成しえません。 また、以前からやっていることのようですが、父母会とは総会後や試合後の飲み会でも積極的に情報共有していきたいと思います。
先日、選手の栄養摂取について、もっと知識を増やしてもらって意識を高めたいということで、駒込にある女子栄養大学に相談に行ってきました。女性栄養大学では、既に、研究室(ゼミ)単位で、東洋大学の駅伝チームや慶応大学のラグビー部といった大学の部活と提携して、選手全員の栄養管理をバックアップしていると聞きました。女子栄養大学の学生たちの活動として、実費以外はボランティアでやっているそうです。 学習院でもそういった取り組みができるかどうかはわかりませんが、お金をかける前に知恵を絞って考える!という点において、可能性がある試みのようにも思えます。
女子栄養大学の担当者の方からは、おもしろい提案もされました。 豊島区長の呼びかけで、学習院、女子栄養大学、東京音大、大正大、立教大、川村学園、帝京平成大は 包括協定していて、いろいろな取組をしているということでした。 そんなの全く知らなかったので、驚きました(私だけかもしれませんが)
としまコミュニティ大学についての豊島区のwebサイトはこちらのリンクから。
ご担当の方からは、帝京平成大学は怪我後のリハビリが得意だから、選手のリハビリなど相談にのってもらえるかもしれませんよ、と教えてもらいました。 そういう学校の枠を超えた活動で、どんどん応援してくれる人を増やしていきたいと思います。
(9)具体的な施策
具体的な施策として、チームが必要としていることはなんなのでしょうか。 1部の例を参考にしていくと、やることがたくさんありすぎて困ります。 最新のソフトウェア(練習、ゲームを分析するツール)の導入 怪我防止のための防具(ニーブレス)導入 フットボール知識の勉強会、クリニックへの参加、開催 アスリート弁当の導入 専門家によるメンタルトレーニング ユニフォームの刷新 制服の統一 他大学との合同練習 ミニ合宿 寮の完備 プロテイン支給 常駐コーチを雇用する リクルート活動、高校でのクリニック開催 イメージビデオの作成(リクルート用) グッズの充実と販売 企業スポンサーを募る チームの社団法人化 学校と連携した寄付環境づくり ・ ・ ・ 実力校がやっていることを挙げればキリがありません。
学習院は予算もなく、セレクションもない、そもそも学校の人数が少ない というハンデを背負っていることを考える、その制約の中でやることを決めて行かなくては なりません。 まずひとつには、4つの基礎固めをするための施策。 これが最優先です。 そして知恵を振り絞って、お金のかからないことは試していく。 その後は、優先順位をつけて、やらなければいけないことをできる範囲でやる。 そして、やらなきゃいけないことは、寄付をお願いして、実行する。 ということに尽きると思います。
今、同期の田代が頑張って、支援金の案内を出していて、いろいろな方に意見もいただいています。 理想ばかりを掲げて、現場の関わっている人たちのボランティア精神だけに頼っていては、限界があります。 必要な予算をかけて、実行する! これは会社でも同じだと思います。 1部に昇格したい、という目標を掲げたなら、それなりに予算もかけなくてはいけないことは当然です。 まずは5年間それで努力してみて、5年後にまたOB皆で考える機会を設けたいと思ってます。 まずは知恵を絞って考える。 予算を確保しどう効率的に使うか考え、施策を実行していく。
近道はありません。
OB/OGのみなさんで一丸となって、現役学生の頑張っている姿を応援していきたいと思っています。 |